ウソツキセンセイ
 平塚先生の腕から抜けて、あたしは早足で理科室から出ていく。


 本当最悪だ。


 平塚先生の柔軟剤の香りが、少しだけどまだ香っている。


「……あー、びっくりした……」


 こんなことなら、ド派手に転んで平塚先生に痴態を晒した方がまだマシだったかもしれない。


 今のあたし──いちご味のアメのような顔を平塚先生に見られるなんて、この上ない屈辱だ。


 
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