ウソツキセンセイ
「……ん、そろそろいいかな」


 平塚先生は身体を起こして、あたしから離れる。一気に肩が軽くなって、少しだけ寂しさを感じる。


「ありがとね、横田さん」


「…いえ、あたしは何もしてないので」


 だからあたしにお礼を言う必要なんてないのに。


 平塚先生はあたしの頭をくしゃっと撫でる。


 嫌だな。


 この手が恋しくなってしまう。


 この手が離れてしまうのが、すごく辛くなる。

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