ウソツキセンセイ
 気がつくと、平塚先生の挨拶は終わっていて、壇上から降りていた。


 結局、最後まで何を言っているのか、あたしは分からなかった。


 始業式が終わって教室に戻ると、女子たちは皆口を揃えて平塚先生のことを喋っている。


 悲しいとか、寂しい、とか似たような言葉をしきりに言う。


「紅音、大丈夫?」


「ん…?何が?」


「さっきからずっと上の空だよ」


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