ウソツキセンセイ
 蒼依に抱きついて、あたしは言う。お礼にしてはずいぶん軽すぎるから、今日の放課後にお菓子買ってあげよ。


 そして無事に化学の授業を迎えるあたし。


 ……全然無事なんかじゃなかった。


「皆さん、無事に課題やって来たようで何よりです。分からないところ、ありませんでした?」


 平塚先生の顔を見ると、一瞬で頬が熱くなるのが分かる。おまけに心臓まで苦しくなってくる。


「紅音?顔真っ赤だけど、熱?」


「いや…何でもないよ……」


「そう?」


 蒼依にまで心配をかけてしまう様だ。


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