ウソツキセンセイ
 きっとこうなってしまったのは、あの理科室での出来事だと思う。


 その日から、平塚先生を遠くから見ただけで顔を熱くしてしまう。


 残念ながらそれを自覚してしまう事が悔しい。


「じゃあ、今日の授業プリント渡しますね」


 手に持ったプリントを、平塚先生は生徒ひとりひとりに配っていく。


 いつもなら、テーブルに座っている人数分をまとめて配っているのに、今日に限ってひとりひとりに配っている。


「はい、どうぞ」

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