ウソツキセンセイ
 これ以上、平塚先生は何も言わなかった。何も言わずに、テーブルに広げたノートにペンを走らせる。


 あぁ、あたし、本当にただの馬鹿だったんだ。


 やっと、自分の立ち位置に気がつく。


 さっきの告白も、平塚先生にとってはただの迷惑だったんだ。


 あはは、一人で何してたんだろう、あたし。


 踵を返して、あたしは平塚先生に背を向ける。背を向けたまま、理科室から出て、教室へ戻る。


 教室には誰もいなくて、それが少しあたしに安心感を与える。


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