ウソツキセンセイ
 そうと決まれば、あたしは空いた右端のスペースに「半年間ありがとうございました」と書く。そこに小さく横田紅音、と書き添えて。


 その色紙を蒼依に渡すと、蒼依は「これだけ?」と目を丸くして聞くけれど、これでいい、とあたしは強引に押し付けてしまった。


 こうして、時間はゆっくりと過ぎていく。


 今日は特別長く感じたけれど、この後授業が終われば、蒼依とスイーツ食べ放題に行くんだ。


 それが、あたしの唯一の楽しみ。


 ……心にモヤモヤは残ったままだけど。

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