ウソツキセンセイ
 珍しく、蒼依が声を上げている。


 でも、とあたしは目を逸らすけれど、蒼依は執拗にあたしに迫る。 


「平塚先生は紅音にしか心を開いていないんだよ!それに、もう今日で先生じゃなくなったんだからさ、聞いてきなよ、平塚先生の本当の心を」


 そしてもう一度、紅音の本当の心を伝えてきなよ。


 蒼依がそう言ったとき、あたしは席を立ち上がる。


 鞄も何もかも、お店において駆け足で出ていく。


 きっと、蒼依なら何とかしてくれると、勝手に任せて、あたしは紙切れに書かれた所へと向かう。


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