ウソツキセンセイ
 早く押さなきゃ。


 このままだと日が暮れてしまう。


 今日を逃してしまったら、もう平塚先生とは話すことがなくなるかもしれない。


 なんだかそんな気がする。


「……よし…」


 震える指先を、インターホンへ伸ばす。あとは力を入れて押すだけ。


 お願い、ほんの少しの勇気を───。


「横田さん……?」

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