ウソツキセンセイ
 えっと…と口をこもらせていると、平塚先生は小さくため息をつく。


「どうせ、昨日のことでしょう?何回も言いますが、あなたには話すことなんてないんですよ」


 淡々と告げる平塚先生。


 邪魔、と言うようにあたしを押し退けて、部屋の鍵を開ける。


「いつまでもここにいてもらっては困りますので、早く帰ってくださいね」


 帰りが遅くなると怒られますよ、と付け足して、平塚先生は中へ入ろうとする。


「せ、先生!」


 平塚先生の片腕を引っ張り、あたしは先生のことを引き止めた。


 離して、と言っても、絶対に離してなんかあげませんから。

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