ウソツキセンセイ
「少し、横田さんのことなめてたかも」


 さっきまでの威勢はなくなり、小声で平塚先生はそう言った。


「ずっとね、横田さんの優しさにつけこんでた。知らない間に、横田さんのことを妹と重ねてた。…ね?最低でしょ」


 同意を求めるようにあたしの顔を見たけれど、あたしは黙って首を横に降る。


「あはは、怒ってくれたっていいのに。君が好きな俺は、君のことを妹のように見てたんだよ」


「……そんなことで怒りはしませんから」


「ほら、そういうところ。優しすぎるよね」


 平塚先生は困ったように笑う。久しぶりに、先生の笑った顔を見たかもしれない。

< 237 / 272 >

この作品をシェア

pagetop