ウソツキセンセイ
「でも、君はやっぱり妹じゃないって、少しずつ分かってきたんだ。そうしたら、今度は君を横田紅音として意識してしまうようになったんだよね。


 講習の終わりに、横田さんに『俺のこと嫌い?』って聞いた時、君は黙ったままで何も言わなかったでしょ?正直助けられたよ。『嫌いじゃない』なんて言われたら、本当に横田さんのことを好きになってしまいそうで、ダメになるところだった」


「…その時、あたしは嫌いって答えていたら、平塚先生は先生を辞めなかったんですか…?」


「いや、どっちにしても、教師を辞めるつもりだったんだ」


 えっ、とあたしはつい驚いてしまった。


 じゃあどうして平塚先生は先生を辞めたの?

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