ウソツキセンセイ
「……ごめんね、たくさん泣かせて。あそこまで冷たくしておけば、横田さんは俺に構わなくなるって考えていたけれど…予想外すぎて驚いたよ」


「嘘だ。冷たくされたからって諦めるような奴じゃないって、分かってましたよね?」


「うん、分かってた」


「ほら」


 あたしは思わず笑みがこぼれてしまった。それと一緒に頬を伝う涙もこぼれてきて、何がなんだか分からなくなる。


 平塚先生は慌てて「泣かないでよ」と言って、あたしの涙を指ですくう。


 この手が、こんなにも愛おしい。


 平塚先生、あたし、先生を好きになれて良かったです。


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