ウソツキセンセイ
 一体平塚先生はあたしに何の用があるのだろう。


 もしかして、この間みたいにまた実験器具を洗わなきゃいけなくなるのだろうか。


 とにかく、あたしは今不安で胸がいっぱい。加えて妙な緊張。本当にストレスだ。


 頭の中で思考を巡らせているうちに、もうあたしの足は理科室までたどり着いてしまったようだ。


 電気を着けていない暗い理科室で、平塚先生は黙々と書き物の作業をしていた。


 黙って仕事をしている平塚先生は、いつもよりは少しカッコよく見える。


 ……ほらまた頬が熱くなってきた。


 なんとか自分の手で熱くなった頬を冷やす。赤いまま理科室なんて入れないから。


「…失礼します」

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