ウソツキセンセイ
「じゃあ、しばしのお別れだね。横田さん、ちゃんと勉強するんだよ?」


「分かってますよ」


「はい、これ。お守りのアメ」


 平塚先生はポケットの中からアメをたくさん取り出した。


 どうして今、とあたしが呟いたのがおかしくて、思わず笑ってしまう。


「じゃあ、また今度ね」


「はい、ありがとうございました」


 車窓が上げられて、平塚先生の顔がガラス越しで見えづらくなる。


 どうしよ、少し泣きそうになる。


 泣きそうだけど、今は耐えなきゃ。


 今くらい、笑って見送るんだ。

< 256 / 272 >

この作品をシェア

pagetop