ウソツキセンセイ
 蒼依の手が、あたしの背中を押す。


 その勢いに乗って、あたしは女子が集まる輪の中へ駆け出した。


「平塚先生…!!」


 輪の中に無理やり入って、あたしは平塚先生のところへ手を伸ばした。


 あと一歩、もう少しで届きそうなのに、きつくて手が届かない、そう思っていた時に、あたしの手が先生の手で握られた。


「紅音、こっち!」


 女子の輪を無理やり抜け出して、あたしと平塚先生は人気のない小道へ走る。


 うわぁ、久しぶりに走った。


 おかげで息がもう絶え絶えだ。

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