ウソツキセンセイ
「俺さ、何となくわかるんだよ。君が俺のこと嫌いなんだなーっていうこと」


「……はぁ…」


「本当はね、この間の放課後に聞いても良かったんだけどさ、あの時横田さん逃げちゃったじゃん?」


 淡々と、饒舌に。


 平塚先生は話すことを止めない。


 そして、呆然と、きっと口を開けて間抜けな顔をしているであろうあたしの所にゆっくりと歩いてくる。


「ドキドキしたんでしょ?君が嫌いな俺に」


 耳元に平塚先生の甘い声で囁かれる。


「……や、やだ……!」


 あたしは平塚先生を手で押して、自分の席から離れた。

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