ウソツキセンセイ
 問題を解き始めて、一分も満たない。


 こんなことを言うのは非常に情けないことだけど……。


「全然分からないです……」


 さっきまでの真っ赤な顔とは裏腹に、今度は顔を真っ青にして平塚先生に言った。


 さすがの平塚先生も目を丸くしている。きっと、呆れているんだろうな…。


 つくづく自分の理解の乏しさが無念で仕方ない。


「どこ分からないの?」


 あたしの隣の席に座って、平塚先生は言う。


「ここです」


「一番最初からだね」


「……すみません」


 
< 54 / 272 >

この作品をシェア

pagetop