ウソツキセンセイ
 ここであたしの化学の成績が伸びなかったら、平塚先生の顔に泥を塗ってしまうようなものだ。


「七割取れなかったらごめんなさい」


「謝らなくていいよ。横田さんにはちゃんと取ってもらうんだから」


 だからその冷たい笑みを浮かべるのやめて。


 妙なプレッシャーが、じわじわとあたしにのしかかってくる。


「もし、七割取れなかったら…。そうだなぁ」


 平塚先生はあごに手を当てて、何か考える素振りを見せる。


 これは、絶対何かよからぬ顔をしているポーズだ。

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