ウソツキセンセイ
 少しずつ寝ぼけから覚めてきて、ことの状況を思い出す。


 たしか平塚先生に抱きしめられて、そのまま眠ってしまったような気が……。


「…………うわ…」


 思い出さなきゃ良かった。


 今になってものすごく恥ずかしくなってくる。


 あたしはもう一度布団の中に隠れて、今の気持ちを必死に抑えようと試みる。


 しばらくして、そっと保健室の扉が開く音がした。


 足音はあたしの方にだんだんと近づいてきて、カーテンに人影が映った。

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