ウソツキセンセイ
「紅音が倒れたって聞いて急いでここに来ちゃった」


「…倒れたというか、寝かされたというか……」


 ずいぶん大げさに伝わったようだ。


 でも、そのために蒼依がここに来てくれたことが、あたしには嬉しかった。


「ねぇねぇ、平塚先生と何かあったの?」


「へっ!?」


「なんとなくそんな顔してるよ」


 どんな顔、とツッコミを入れたくなったけれど、確かに何も無いとは言えないからあたしは少しだけ口をつぐんだ。

< 84 / 272 >

この作品をシェア

pagetop