ウソツキセンセイ
 それでくまができてたのか、と納得した様子で蒼依は言った。


 確かに口実のような気はするけれど、あたしにとっては本気のようにしか聞こえなかったから…。


「んで、紅音さ」


 少しだけ蒼依が真面目な顔になった。


 夕焼けでオレンジ色に染まった蒼依の目が、じっとあたしのことを見つめる。


「平塚先生のことどう思うの?」


 いきなり核心をついてくる質問に、あたしはごくりとつばを飲んだ。


 昔からそうだ。


 蒼依は男絡みになると妙に鋭くなる。

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