ウソツキセンセイ
 言い終わったあとに、やっぱ言わなきゃ良かったっていう後悔の波が押し寄せてくる。


 蒼依は腕を組んで、じっとあたしのことを見つめたまま黙る。


「……蒼依?」


 あまりにも黙ったままでいるから、あたしは蒼依の顔の前でひらひらと手を振る。


「紅音」


「は、はい…!?」


「それは恋だ」


 はっきりと、蒼依はそう言ったのだった。

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