【短編】君を探して、哀を奏でる
**☆☆**


「貴方の愛はまた、凶暴ですね、ヘルメスさん」


私は蒼い星の分身たちを見、隣のヘルメスさんを見た。


「違う『世界』の季音さんを探し出し─千歳さんと言いましたか。彼女の魂を季音さんに入れるなんて」


「僕は幸運と盗みの神だよ?盗みなんてお手の物」

そんな爽やかに笑われても。

「喜んで良いのか悲しんで良いのか…」


しかし、それが人間の言うところの神の運命。

仕方がない。

「それに、ホーラが僕の分身に力を与えたんじゃないか。時空能力を」


「まあ、そうですが。あんな形で使用するとは夢にも思いませんでしたよ」


「そうだよねぇ。さすが僕の分身。神の力なんて、本領発揮するの相当な念がないと無理なのに、ホーラの力を最大限活用してるよねぇ」


本当、すごい。

人間の愛の力を侮っていたけれど、捨てたものじゃない。


蒼い星で幸せに笑う二人をもう一度見て、目を閉じる。


この星が末長く続けば良い。


蒼い星が赤になったとき、私はまた彼らを壊さなければならないから。




< 11 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop