モテ系同期と偽装恋愛!?
心なしか顔が熱く感じ、それをごまかすためにバスタオルを干したり、バスグッズをしまったりと忙しく動いていた。
すると横山くんが立ち上がり、窓際の小型冷蔵庫から何かを取り出している。
「紗姫、緑茶とスポーツドリンクどっちがいい?」
私に向けて差し出す2本のペットボトルは、多分、ロビーの自動販売機のものだろう。
私の分まで買ってきてくれたんだ……。
緑茶を選んでお礼を言う。
横山くんは気の利く人。色々としてもらってばかりの私は、彼に何も返せない。
それを申し訳なく思いながらも、これから私の過去の話に付き合ってもらうという、面倒もかけようとしている。
「話、聞いてもらっていいかな……」
横山くんと向かい合わせに立っている私は、手の中の緑茶から視線を上げて、整った彼の顔を見た。
すると、その顔がなぜか赤いことに気づく。
お風呂のせいかと一瞬考えてしまったが、私より先に上がって部屋で待っていたし、今さっきまで普通の顔色をしていたので、それはない。
「顔、赤いよ……?」
不思議に思い、つい言ってしまった言葉は余計なことだったみたい。
横山くんが困ったような顔して前髪を掻き上げ、言い難そうに理由を教えてくれる。
「紗姫が髪を下ろしているところ、初めて見たから……」
「う、うん、まだ乾いていなくて、結ばない方がいいと思って」
「そうだよな、当たり前の理由で髪下ろしてんだよな。分かっていても、俺、ヤバイ……。
色っぽい浴衣姿と濡れた髪に、下半身が反応して……」