モテ系同期と偽装恋愛!?
つい横山くんの股間に視線を向けてしまい「見ないで」と言われてしまう。
「あ、あの……」
思わず一歩後ずさると、慌てたように彼が言葉を付け足した。
「大丈夫、絶対になにもしないと誓うから。
ただ、煩悩を捨てきれそうにないから俺の視界に入らないで。話を真剣に聞きたいからさ……」
「う、うん、分かった」
頷いてみたものの、狭い部屋なので視界に入るなと言われても……。
どういうポジションを取ればいいのかとオロオロしていたら、横山くんに具体的に指示された。
「紗姫はここに、こっち向きで座って。
俺はここ」
それは布団の上に背中合わせで座るというものだった。
横山くんがドア側、私が窓の方を向いて。
20センチの距離を置いて背中合わせに座ると、お互いが視界に入らず、私も話しやすいし横山くんも聞きやすそうな気がした。
それから、およそ1時間後。
宿の中はシンと静まり返っていた。
他の宿泊客は眠りの中にいるようで、時々聞こえていた廊下を歩く人の声や物音が、今は全く聞こえない。
私は横山くんと背中合わせに座ったまま、膝を抱えて過去の話をし終えたところだった。