モテ系同期と偽装恋愛!?
苦しくて心が痛いから、やめられるものなら高飛車女をやめたいと、ずっと思っている。
他に身を守る手段を思いつけないから、どうしようもないだけで……。
横山くんにそれを説明し、以前、大会議室で桃ちゃんにもこう言われたと話す。
『男が苦手な紗姫に、彼氏を作って守ってもらえばとは言えないしね。
下手なアドバイスをした結果、失敗してイジメにあっても責任取れないし、変なこと言ってごめん』
桃ちゃんの言葉を出した理由は、だから私は高飛車女を貫くしかないのだと言いたかったから。
それなのに、後ろに指先を弾く音が聞こえ「それだ!」と大きな声で言われてしまい、驚いて肩をビクつかせた。
「浅倉のアイディア、いいじゃん!
ツンツンな態度で男を避けるより、彼氏がいるからと断る方が自然だろ」
「え……」
横山くんは私に彼氏を作れと言い出した。
無理して高飛車女を続けるより、その方が正しくて健全な男性撃退法だと。
「無理だよ」と、すぐに却下した理由はふたつある。
ひとつ目は男性が怖いのに、どうやって彼氏を作れというのか。
好きになった男性になら触られても大丈夫だと考えているのかもしれないが、好きになる前の段階で心が拒否してしまうというのに。