モテ系同期と偽装恋愛!?
出張からの帰り道、新幹線の中で下の名前で呼び合うことも約束させられた。
偽物だからこそ、恋人らしく振舞う必要があるのだと説得されて。
それで土曜日は"遼介くん"と呼ぶよう努力していたのだが、日曜を挟むとつい呼び方が元に戻ってしまった。
これは慣れるまでに、時間が掛かりそう……。
遼介くんは私が答えられない質問に、代わって答えてくれた。
自分から交際を求めたことや、私の性格について、今までは強がっていただけだという風に説明してくれて、応答の中にさりげなく注意事項も織り交ぜてくれたりする。
「俺の彼女だから、男は紗姫にちょっかい出さないでね。半径1メートル以内に入らないように」
私を守るその言葉は、単なる独占欲だと受け取られ、冷やかされたりからかわれたりと、明るい笑いに声に包まれていた。
男性社員に関してはそんな感じだが……チクチク刺さるような視線を感じてそっと斜め後ろを振り向くと、いつの間にか輪から外れた女子社員4人が後ろの方に固まって、ヒソヒソと小声で何かを話していた。
会話の内容は聞こえないが、嫉妬のこもる視線を向けられては、なにを話しているのか容易に想像できてしまう。