モテ系同期と偽装恋愛!?
昨日のことはそんな内容なのだが、焦りからか上手く説明できなくて、ひたすら「違う」と訴えていた。
そうしたらバチンと大きな音がして、左頬に痛みが走る。ユウが泣きながら私の頬を叩いたのだ。
「嘘つき、手を繋いでいたって聞いたもん!」
「繋いでないよ! 綺麗な指だねって言われて触られたけど、少しだけで……」
友達に嘘なんかつかないし、好きな人を横取りしようなんて、これっぽっちも思わない。
なにより友達が大事なのに……。
3人は私の言葉を聞いてくれなかった。
「裏切り者の性格ブス」とユウに言われた。
アヤには「顔が可愛いと得だよね〜」と嫌味を言われる。
チナツには「友達より男を取ったんだからグループ抜けて」と言われてしまった。
「待って! 違うよ、私は……」
慌てる私に3人は声を揃えて言い放つ。
「紗姫なんか、もう友達じゃないから」
大きなショックを受けて、泣き崩れる私。
次に目を開けると黒板の前に立たされていた。
教室内にはいつの間にかクラス全員が揃って着席して、私の隣には白いチョークを手に黒板に向かっている担任の女の先生が立っていた。
カツカツとチョークを鳴らして先生が書いたのは、『横山紗姫、ビッチ裁判』という言葉。
目を見開く私を無視して、先生はクラスの皆んなに問いかける。
「親友の好きな人を奪っていいと思いますか?」
クラスメイト達はなぜか制服を着ていなかった。
ドラマに出てくる裁判官みたいな黒い法衣と、角ばった帽子を身につけている。
そんな皆んなが先生の質問に「ダメです」と声を揃えて答えていた。