モテ系同期と偽装恋愛!?
食後の片付けも一緒にやってくれて、私がエプロンを外すと、「さて」と彼は言った。
「借りてきたDVD、観ようか」
「う、うん……」
穏やかな楽しい時間は、もう終わりで、私はゴクリと唾を飲み込む。
ただDVDを観るだけならこんなに緊張しないが、これは男性に慣れるための練習で『体を寄せ合って』と言われている。
たちまち心臓が忙しく働き始め、不安が心を支配し始めた。
テレビの前には、ガラスの天板のローテーブルと、白い布張りのふたり掛けのソファー。
遼介くんはDVDのセッティングを終えてリモコン片手にソファーに座ると、優しい声で私を呼んだ。
怖いと感じてしまいそうで、気持ちが落ち着かないが、ゆっくりと彼の方に足を踏み出す。
帰り道で、頑張ろうと励まされたことを思い出していた。
彼がここに来た目的は、この練習。
それは私のための練習で、偽の彼氏役をやらせているのも私のためなのだからと言い聞かせ、逃げずにソファーの隣の席に腰を下ろした。
再生されたDVDは90分のアニメーションの洋画。
気軽に笑って観られるようにと、彼が選んでくれたものだった。
恐怖心を煽るホラーは以ての外だし、ラブストーリーは普段好きでも今はダメ。横に男性がいることを過剰に意識してしまいそうだから。
なのでコメディアニメに依存はないが、ストーリーを頭に入れる余裕があるかどうかは、自信がない……。