モテ系同期と偽装恋愛!?

ふたり掛けのソファーの端っこギリギリに座ったのに、DVDの再生後に遼介くんがお尻の位置を私の方へずらしてきた。

太ももと腕が……。

私の体の右側面と彼の左側面が接触した途端に、もやもやした不安が濃くなり、恐怖へと変わり始めていた。

どうしよう……やっぱり怖い……。

「り、遼介くん……私……」

「分かってる、震えてるね。
でも90分耐えて。俺はこれ以上なにもしないと信じて、意識をなるべくテレビに向けて」

遼介くんのことは、信じているつもり。
それでも状況反射的に体が震えてしまうのだ。

視線をテレビに向けていても、触れ合う腕や太ももから意識を離せない。

頭の中に勝手に浮かんできてしまうのは、辛い学生時代に私に迫ってきた男子たちの顔。

遼介くんと彼らを一緒にしたくないのに、どうしても怖いと感じてしまい……。

そんな辛い状態が数分続いたが、膨らんだ恐怖は勢いを失い、急速にしぼみ始めた。

それは彼が隣で、声を上げて笑っているせいだ。

このアニメ、そんなに面白いのかな……。

楽しそうな彼に誘われるように、私の気持ちもやっとテレビに向く。

主人公はロボットのロボタン。
冒頭部分を見逃してしまったが、どうやら人間になりたいロボタンが、神様に与えられた試練をひとつずつクリアしていく物語みたい。

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