モテ系同期と偽装恋愛!?
ロボタンはかなりドジで、確かに笑いのポイントはたくさんあった。
ひとりで爆笑している遼介くんの肩が揺れるたびに、私たちの腕と腕が擦れ合うが、もう怖いと思わなかった。
緩めたネクタイに、ふたつ外した白いワイシャツのボタン。
彼の襟もとから甘い香水の香りが微かに漂っていても、頭の隅でいい香りだと感じるだけで、近すぎるこの距離を過度に意識せずにいられた。
その状態で90分の物語が終わり、時刻は22時半になっていた。
リモコンでテレビを消した彼が、笑顔で私に話しかける。
「面白かったな。コメディにして正解だっ……紗姫、泣いてるの⁉︎」
黒一色の画面を見つめたまま、私の両目からは涙がポロポロとこぼれ落ちていた。
その涙の理由を男性恐怖症からのものだと勘違いした彼が「辛かった?ごめ……」と謝りかけたので、ポケットから出したハンカチで目もとを押さえながら首を横に振った。
「違う……一生懸命なロボタンが健気で、感動して……」
「え……?」
失敗ばかりの不器用なロボタンは、神様に与えられた試練をクリアしても、結局人間にはなれなかった。
でも冒険を通してたくさんの友達ができて、人間よりも人間らしい豊かな感情を手に入れることができた。
最後は人間の子供たちから、ロボタンみたいになりたいと言われるヒーローになっていて……ロボタンに勇気づけられた気分で、私も頑張らなければと思うようになっていた。