モテ系同期と偽装恋愛!?

桃ちゃんが祝ってくれることに喜びかけたが、すぐに思い直す。

今日は金曜日で、桃ちゃんが彼氏とお泊まりデートする曜日だと知っているから。

そのことを伝えて、お礼と共にやんわりと断りを入れたら、桃ちゃんが苦笑いする。

「お泊まりデートというか、ただ彼氏が毎週金曜、うちに泊まりに来ているだけだよ」

「うん、でも、彼氏さんに悪いと思っちゃうから、桃ちゃんが嫌じゃなければ別の曜日に」

「もう8年の付き合いだから、お互いにワクワクして金曜を待っている訳じゃないよ。別に気にしなくていいのに」

「8年経つんだ……すごいね……」

そんなにも長い間、同じ人を好きでい続けられる桃ちゃんは、恋愛の大先輩のように感じてしまう。

付き合いたてと今とでは、気持ちに違いがあるのか、それとも変わらないのか気になり、真顔で質問してみた。

すると桃ちゃんは照れ臭そうにしながらも、教えてくれた。

「最初の頃の熱い気持ちはないけど、好きは好きかな……。なんていうか、今は穏やかで一緒にいるのが当たり前というか、いないと変というか……」

一緒にいて当たり前とは、家族のような気持ちになるということだろうか。

だとすると、家族に対する愛情と恋人に対する愛情の違いはなんだろう。

そもそも愛ってなに? 恋ってなに? どういう気持ち……?

深く考え過ぎて根本的な疑問にぶち当たってしまった私は、その質問を身を乗り出して桃ちゃんにぶつけてみる。

< 241 / 265 >

この作品をシェア

pagetop