モテ系同期と偽装恋愛!?
それはいつものことだが、少し不満。
部署移動に前向きなのは、この嫉妬心から逃れたいという気持ちも影響しているのかも。
朝礼が始まると、賑やかだったフロアの空気がピンと張る。
週始めの月曜は特に、指示や連絡事項が多いから、聞き漏らさないようメモを取る。
およそ5分間の朝礼が終ろうという時、課長が遼介くんの名前を呼んだ。
「この後、ミーティング室に行ってくれ。
人事部長が来るから」
移動辞令前の内示がきた……。
どうやら私ではなく、遼介くんが移動になるみたい。
途端にざわつくフロア。
どこの部署への移動なのかとヒソヒソ話す声や、女子社員の残念そうな溜息も聞こえてくる。
立ち上がった彼も浮かない顔。
今朝、海外出張のない部署は嫌だと言っていたことを思い出していた。
それと、私と離れるのが淋しいと言っていたことも……。
ミーティング室はこの部署の隅にある、パーテーションで区切られたスペースで、そこへ向かう途中の彼と目が合うと、少しだけ笑顔を見せてくれた。
朝礼が終わったのでそれぞれに仕事を始めるが、私を含めた誰もが意識をミーティング室に向けていた。
さっき、人事の部長ともうひとりが、入っていったところ。
今頃、遼介くんに4月からの移動について説明しているはず。