モテ系同期と偽装恋愛!?
マンションのエントランスから外に出ると、夏の風が肌を撫でた。
今日の予想最高気温は27度。今は24度くらいだろうか……。
まだ夏本番ではない6月なので、遊園地は大勢の客で賑わっていそうな気がした。
マンション前の路肩にメタリックブルーのボディの、目立つ車が一台停まっていた。
さっきの到着を知らせるメールに、青のレクサスと書かれていたので、多分これが横山くんの車なのだろう。車種に詳しくないからレクサスと言われても分からないのだけれど。
近づいて行くと、運転席のドアが開いて横山くんが降りてきた。
「おはよ、晴れてよかったな〜」
私の気持ちとは真逆の感想を口にする彼に、一瞬戸惑う。
あれ、いつもと雰囲気が違うような……。
そう感じた理由にすぐに思い当たる。いつものスーツ姿ではないからだ。
白いVネックのシャツの上に、水色のカッターシャツを羽織り、袖を肘まで折り返していた。
グレーのパンツにスニーカー。髪は社内で見るより前髪が下りていて、ナチュラルで爽やかだった。
笑うと少年のような可愛らしさのある彼だが、真顔の時は逆に大人っぽい印象だ。
女子社員が揃ってセクシーだと噂する甘口の顔も、服装と髪型のせいか、今日はいつもより色気が抑えられているように感じていた。
一方、横山くんも私の姿に、いつもとは違う雰囲気を感じたみたい。