モテ系同期と偽装恋愛!?
「へぇ、オフの日はカジュアルなんだな」と言われたのは、その通り。
オフィススーツ以外の服は、着心地重視でシンプルなデザインのものが多い。
そして今日は、特に普段着っぽい服を選んで着た。デートを楽しみにしていたとか、気合を入れていると思われないために。
白の9分丈スキニーパンツに、ボーダー柄の半袖チュニック。
ボーダーを選んだ理由は、ネットで男子が女子にデートで着て来てほしくない服装ランキングに入っていたからだ。
フラットシューズに、アクセサリーはなし。ショルダーバッグは出勤用のものと、わざとデートに相応しくない格好をしている。
お洒落じゃないと思ってくれて構わない。
こんな女と出かけるのは嫌だと感じて、デートを中止にしてくれるなら尚のこといい。
そう思って選んだ雑な服装なのに……「俺、そういうの好きだ」と笑顔で言われてしまい驚いた。
「ど、どうして……」
「自然体って感じで、なんか嬉しい。
それに、紗姫に似合ってる。なに着ても、紗姫なら可愛く見えるんだろうけどな」
ニッコリと少年のような無邪気な笑い方をする彼に、胸がチクリと痛んだ。
横山くんは、素直で純粋な捉え方をする人なんだ……それに比べて私は……。
打算的な考えで服装選びをした自分の心を、醜く感じてしまった。