モテ系同期と偽装恋愛!?
開けてくれた助手席のドアの内側に体を入れる。
運転席に横山くんが乗り込みドアが閉められると、ふたりきりの密室空間に緊張が増した。
こういう場合、普通の女子なら期待に胸を高鳴らせるのだろう。
でも私がドキドキしている理由は、怖いから。
昼間だし、今日の横山くんは見た目に爽やかで危険な感じはしないし、危ない目には合わないと分かっている。
それでも男性というだけで、不自由な心が勝手に怖がってしまうのだ。
その気持ちを決して表に出さぬよう気をつけながら「どこに行くの?」と聞いてみた。
ウインカーを上げ、車は走行車線に走り出る。
スムーズなハンドル操作で追越車線に移動しながら、横山くんが答えた。
「子供ドリームランド」
「え……?」
驚いて聞き返してしまったのは、名前の通り小さな子供向けの遊園地だから。
東京郊外にあるその場所は、私の実家から車で10分ほどの近距離にあるのでよく知っている。
小さな頃は家族で訪れ、中学1年生の時はまだ私の友達でいてくれたクラスの女子たちと遊びに行ったこともあった。
絶叫マシンはなく、メリーゴーランドなどのオーソドックスな乗り物が6つ。
それと無料で利用できる大きな公園が隣接していて、遊園地の利用客より公園で遊ぶ親子連れが多かった気もする。