それは秘密です
そういった際には私が所属する人事部人事課の出番となる。

といってももちろん、まだ入社3年目の私が面接官になったり合否を判定する訳じゃないけど。

ぺーぺーの下っぱに、そんな重要な任務が任されるハズがない。

応募者からのエントリーシートや履歴書を上司が閲覧しやすいようにファイリングしたり、採用試験を進めて行く上で必要になってくる書類の作成、筆記試験や面接会場の準備と後片付け、そして、最終的に合否の通知を郵送したりと、とにかく採用に係る細々とした業務を担当するのだ。

とはいえ今回のキャンペーンの場合は派遣会社に必要な人材の選出を委託してあるので、我が人事課が一人一人に対しての密な面談を行う必要はなく、処理はだいぶ簡素化されている。

それでも事前の面通しを兼ねて、ちょっとした研修会を行わなくてはならない。

採用された方達を本社、つまり私が勤務しているこのビルの大会議室に集め、今回のキャンペーンの主旨や概要、当日の注意点等を説明したり、担当別に分かれてもらって従事する作業の流れを解説した後、実際にシミュレーションしてもらったりするのだ。

もちろん、その研修自体はキャンペーン当日、指揮を取る宣伝課の方々が担っているので、人事課が出張る必要はないのだけれど、とにかくそこに至るまでの準備は進めなくてはいけないし、期日も迫って来たのでなんやかんやと慌ただしくなっていた。
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