それは秘密です
彼は無言のまま私を見つめ続けている。
「六島君こそ、キモいでしょ?友達のふりして、密かに陰気にねっとりと、自分のことを狙っていたのかよって」
「そんなことない」
今度は六島君が力強い否定の言葉を口にした。
「そんな卑下した言い方をするな。佐藤は陰気なんかじゃない」
ちょっと怒ったような口調だった。
「その天真爛漫な明るさに、今までどれだけ救われて来たことか…。そんな佐藤にだからこそ、真実をカミングアウトする気になったんだ」
「……迷惑じゃ、ないの?」
「どうして?そんな感情微塵もないよ」
六島君はキッパリと答え、続けた。
「っていうか、超嬉しい。正直自分でも驚くくらい舞い上がってる。今までの人生で初めてじゃなかろうかっていうくらい」
「え……」
意外過ぎる答えに思わず言葉を失っている間に、六島君は神妙な表情になり言葉を繋いだ。
「だけど…。あんな事を暴露しておきながら、告白してもらって嬉しかったからじゃあ佐藤と付き合います、っていうのも節操がないし…。まるで、あっちは望みがないからこっちに逃げる、みたいになっちまうしさ」
そこで彼は黙り込み、一拍置いてから、意を決したように再び口を開いた。
「俺に時間をくれないか?」
並々ならぬ、覚悟が窺える口調だった。
「六島君こそ、キモいでしょ?友達のふりして、密かに陰気にねっとりと、自分のことを狙っていたのかよって」
「そんなことない」
今度は六島君が力強い否定の言葉を口にした。
「そんな卑下した言い方をするな。佐藤は陰気なんかじゃない」
ちょっと怒ったような口調だった。
「その天真爛漫な明るさに、今までどれだけ救われて来たことか…。そんな佐藤にだからこそ、真実をカミングアウトする気になったんだ」
「……迷惑じゃ、ないの?」
「どうして?そんな感情微塵もないよ」
六島君はキッパリと答え、続けた。
「っていうか、超嬉しい。正直自分でも驚くくらい舞い上がってる。今までの人生で初めてじゃなかろうかっていうくらい」
「え……」
意外過ぎる答えに思わず言葉を失っている間に、六島君は神妙な表情になり言葉を繋いだ。
「だけど…。あんな事を暴露しておきながら、告白してもらって嬉しかったからじゃあ佐藤と付き合います、っていうのも節操がないし…。まるで、あっちは望みがないからこっちに逃げる、みたいになっちまうしさ」
そこで彼は黙り込み、一拍置いてから、意を決したように再び口を開いた。
「俺に時間をくれないか?」
並々ならぬ、覚悟が窺える口調だった。