それは秘密です
零人
『お話があります。勤務終わりに会っていただけませんか?』
午後の休憩時、以前入手していたそのアドレス宛にメールを送信すると、『19時前後なら』というレスポンスが届いた。
了承した旨と待ち合わせ場所を記載した文面を送り、ひとまず仕事に戻る。
「……嘘だろ」
約束した時間に無事に落ち合い、挨拶もそこそこに繰り出した俺の告白を聞いた瞬間、彼は最大限に目を見開いた。
「嘘じゃないですよ…」
あずまやの椅子に腰掛け、神妙な表情で傍らに佇む彼を見上げていた俺だったが……。
こらえきれず、思わず『ふっ』と笑いを漏らしたあと、続ける。
「今日の朝、佐藤に好きだって、しっかりはっきり告白されました。だから言ったじゃないですか。あんたが入り込む余地なんかこれっぽっちもなかったんですよ」
これが笑わずにいられるか。
突如現れた強力なライバルを見事に撃退し、完全勝利を果たしたのだから。
「やり手で切れ者だって評判なのに、加東さんて意外と肝心な所でツイてないんですね。よりにもよって恋敵である俺に仲介を頼んじゃうんだから」
「いや、だってお前ら、すっげー仲が良かったから…」
珍しく歯切れの悪い口調で、それでも加東はきちんと返答した。
午後の休憩時、以前入手していたそのアドレス宛にメールを送信すると、『19時前後なら』というレスポンスが届いた。
了承した旨と待ち合わせ場所を記載した文面を送り、ひとまず仕事に戻る。
「……嘘だろ」
約束した時間に無事に落ち合い、挨拶もそこそこに繰り出した俺の告白を聞いた瞬間、彼は最大限に目を見開いた。
「嘘じゃないですよ…」
あずまやの椅子に腰掛け、神妙な表情で傍らに佇む彼を見上げていた俺だったが……。
こらえきれず、思わず『ふっ』と笑いを漏らしたあと、続ける。
「今日の朝、佐藤に好きだって、しっかりはっきり告白されました。だから言ったじゃないですか。あんたが入り込む余地なんかこれっぽっちもなかったんですよ」
これが笑わずにいられるか。
突如現れた強力なライバルを見事に撃退し、完全勝利を果たしたのだから。
「やり手で切れ者だって評判なのに、加東さんて意外と肝心な所でツイてないんですね。よりにもよって恋敵である俺に仲介を頼んじゃうんだから」
「いや、だってお前ら、すっげー仲が良かったから…」
珍しく歯切れの悪い口調で、それでも加東はきちんと返答した。