それは秘密です
そんな中、そういった内容のメールが届いたのである。

加東さんはそのキャンペーンのリーダーを任されているので、中心になってあれこれ準備を進めているうちに何かしら不安要素に気付いたのだろう。

彼は入社時から宣伝課に所属していて、まだ5年目だけれど、その若さですでに数々の功績を残している。

というか、宣伝課は総勢7名のこじんまりとしたセクションなので、その人数でも滞りなく仕事を捌けるように、新人の時からバリバリ鍛えられ早い段階で一人立ちさせられるのである。

言い換えれば、それに対応できる能力があると判断されたからこそ宣伝課に配属されるという訳で、つまり将来を有望視されているエリートの集まりなのであった。

その中でも加東さんは特に優秀だと評判だった。

さらに、実務能力だけでなく、ビジュアル面でも大層優れている方で。

180近い長身で今流行りのあっさり塩顔、人工的に加工したのではなく生まれつきと思われる、若干茶色がかっているサラサラの髪をビジネスマンらしく右わけできちっとセットしてある。

上品で清潔感があって、いわゆる「王子様オーラ」がこれでもかとばかりに溢れ出している人なのだった。

至極当然の結果として、社内にその存在が広く知れ渡り、数多くのファンがついている。

独身女性の大半が狙っているといっても過言ではないかもしれない。
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