My letter 〜君の未来に〜
「先生、海実ちゃんがいらしてますよ。」
「海実ちゃん?入ってもらって。」
「はい。」
今日は検査の日でもないのにどうしたんだろう?
控えめなノック音の後に海実ちゃんが診察室に入ってきた。
「どうしたの?」
海実ちゃんが椅子に座ったのを確認して問いかける。
少しの沈黙が続いて、意を決したように口を開いた。
「…… ひとつだけ…ワガママ言ってもいいですか?」
俺は黙って次の言葉を待った。
「直人くんと、彩葉と、海に行きたいんです。」
俺は黙ったまま。
「お願いします。…外出許可、出してもらえませんか?」
海実ちゃんは俺に向かって頭を下げた。