My letter 〜君の未来に〜
叶わない願い
ある日の昼下がり。
「海実ちゃんってさ、彩葉と同じ高校なんだよね?」
「うん。正確に言うとだった、だけどね。」
木口くんと雑談中。
「彩葉ってどんな印象だった?」
「彩葉はね、始めは芯のある子だなって思った。柔らかくて弱そうに見えるのになんでか強く見えたの。」
「俺のせい、かな…」
「それは違うよ、木口くん。」
彩葉が強く見えたのは、今できることに一生懸命だったからだと思う。
「海実ちゃん、なんで俺のこと苗字呼びなの?雫でいいのに。」
「彩葉に、悪いかなぁって…」
「いいと思うよ。海実ちゃんだから。」
「じゃあ雫くんにする。」
ずっと思ってたのは、あたしが雫くんって呼んでもいいのかなってことだった。