My letter 〜君の未来に〜
直人side
初めてだった。
海実が俺に頼みごとをしてくるなんて、それほど嬉しいことはない。
内容は、彩葉ちゃんの彼氏である木口 雫-キグチ シズク-くんをウチの病院に転院させてほしいっていうもの。
もちろん海実の頼みだから叶えてあげたくて、今院長室にいる。
「直人が私に用事があるなんて珍しいな。どうした?」
「今、北町病院に高校2年の木口 雫くんという子が入院しています。
彼は今から3年前の中学2年生の夏に重度の心臓病で倒れ、まだ意識が戻っていません。
その彼を…この病院で治療してもらえないでしょうか?お願いします。俺、医者になって、この病院を継ぎます。
跡継ぎに見合うような医者になります。だから…」
俺の言葉を黙って聞いていた院長であるじいちゃんは俺の目をしっかり見て言った。