マシンガン LOVE ~この想い、あなたに届け!~
「とにかく。もう少しリラックスしたら?
そんなに緊張してたら、自分が主張したいことの10分の1も言えないぞ?」
そう言ってニカっと笑った彼の顔がとても綺麗で。見惚れてしまいそうになった。
そして何故か、手の指先や脚の震えが止まった。
まるで魔法をかけられたように ―――
『学生生活で何かをやり遂げた成功体験はありますか?』
最終面接の場で、メインで訊かれたのはその質問だった。
この時、私の頭はスーっと冷めていて。慌てることなく沈着冷静でいられた。
何の体験の話がいいか、自分の頭の中の引き出しをさぐる。
そして私は、高校と大学でバトントワリング部に所属していたことを話した。
成功体験、というには物足りないかもしれない。
だけど部活で得られた達成感などを、笑顔をまじえながら自分の言葉で語った。
あんなに控室で緊張していたのに。
心臓が口から出るんじゃないかと思うほどの動悸と震えだったのに。
それを思うと、スラスラと本番で面接官と話せている自分が信じられない。
面接が終わり、ロビーで先ほどの彼をキョロキョロと探してみるけれど見当たらなかった。
もう帰ってしまったのかもしれない。
本当に残念。お礼が言いたかったのに。
だって緊張がほぐれたのは、彼が気さくに話しかけてくれたからだ。
真っ先に、彼のその優しさに感謝したい。