らいす
はじまり
はじまりは、突然だった。

確か、今日は私立のお嬢様学校の入学式だったはずだ。憂鬱な気分を抱えたまま、朝早く家を出た。
ここまでは、おぼえてる。
そのあとのことは、全く思い出せない。

ところで、ここはどこだろう。私の目に映るのは、見慣れない景色ばかり。家の周りの気取った高級住宅街も、学校帰りに友達と寄り道してみたかったファミレスもない。
あるのは、小さいころ絵本の中でみたかわいらしいお家だった。

どうやら、小さな村に迷いこんでしまっ
たらしく同じようなお家が軒を連ねている。
私は、一人呆然と道の真ん中に座りこんでしまっていた。それにしても、ひとっこひとり見当たらない。こんなに天気のいい日に誰も外に出ていないなんて。
なんとなく違和感を感じつつ、私は立ち上がった。
とりあえず、ここがどこか調べなくちゃ。そう思って、スマホを取りだそうとした私ははっとした。
「ないっ⁉」
まさか、落としたのっ⁉
というか、スマホどころか持っていたはずのバッグもない。
サァーっと血の気がひくのがわかった。お金もスマホも持たずに、知らない場所でひとり…。

ど、ど、ど、どうしよう⁉
パニックになりそうな気持ちを必死で静める私。落ちつけっ。考えるんだっ!
こういうときは、、、
人を探そう。
ようやく、冷静になった私は誰かに頼ることにした。
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