【短編】ネイル
「長谷川さん!長谷川さん!」



「あ、今西さん……」



「びっくりしたよ、寝てんだもん。……あれ?」



突然今西さんが手を伸ばしてくる。
その指先はあたしの目にあたった。



「泣いてるよ……?」



手を引っ込めた今西さんの指には透明な液体。


あたしにも、涙は残ってたんだな。

もう、子供時代に全部使いきったと思ってたよ。



「あ、よだれですから!気にしないでください!じゃ、値段はいくらですか?」


そう言ってあたしは財布を取ろうとかばんに手を伸ばした。



……あれ?
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