教室と、初恋。
「たとえば今抜き打ちで、公式だけのテストとかやったら、岡野は学年順位1桁は狙えるよ」
「え……えぇ!?」
あ、ありえない!
いつもの定期考査は平均以下は当たり前、たまに赤点ぎりぎりとかもとっちゃうのに……!
「岡野が数学苦手なのはわかってる。だけどそれをカバーしようと、必死に暗記で補える分は努力してるのも知ってる。
ただ数学的思考力や発想がないだけで、決して頭悪くはない。
この学校の考査スタイルが実力重視だからあまり結果が出ないだけで、センターレベルなら数学でも十分いい点が取れる」
そう言って先生はわたしのノートをそっと閉じて、わたしに差し出してくれた。