教室と、初恋。


ゆきに向けていたのとはかけ離れた、感情のこもっていないような目。


出席簿や教科書を持って教室から出ていこうとする。



……そうだよね、


自分の教科だけ成績が格段に悪い生徒なんて、いい気はしないよね……。



少し寂しく思って、席に帰ろうとしたその時。




「……だから岡野。昼休みに職員室。授業ノート持って来て」



ドアに手をかけて、こちらを振り返って言う先生。


……教えてくれるんだ。



「はい……っ!」



一瞬で幸せな気分になって、笑顔で返事しちゃった。


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