教室と、初恋。
「……え!?」
驚いて途中で止まってしまった。
ゆきたちが、堪えきれない、と言った様子で肩を震わせている。
店員さんは、気が付かなかったけれど、下を向いて、なるべくわたしと目を合わさないように接客していた。
……だけど、気づく。
「……深森さん……!?」
ショートヘアを耳にかけて、明るめのピンで止めて、さらに制服の帽子を斜めにかぶった彼女は、
教室の隅っこで地味に過ごしている深森さんだった。
「え……かわいい!」
ウエイターさんのかわいさで有名なここの喫茶店の制服がよく似合う。
ピンも似合ってるし、顔にも影ができなくてとても明るく見える。
素直にそう口に出していた。